梵字
大峰山の山伏の修行、修験道は、密教との関わり深く、梵字との関りも深い。
インドで使用されるブラーフミー系文字の漢訳名である。
ブラーフミーは「ブラフマー(梵天)の創造した文字」を意味する。また、単に「梵語(サンスクリット)を表記するための文字」とも解される。
日本では歴史的・伝統的に悉曇文字(しったんもじ)を指すことが多く、本項でも主にそちらを説明していく。

子音字と母音字があり、子音字に母音がつく場合子音字に点画を書き足す形になる。子音字のみだと子音+[a]の音を表す(つまりアブギダのシステムに従う)。

狭義の梵字、つまり悉曇文字の場合は一見規則性のない文字に見えるが、これも基本は同じである。


梵字は広くブラーフミー系文字に属する文字体系を指すが、俗に悉曇文字を指すこともある。

悉曇はサンスクリット siddhaṃ の漢字音写である。肆曇、悉談、悉檀、悉旦、七旦などの表記も行われる。この語は「成就する」という意味の動詞語幹 sidh の過去分詞 siddha が名詞化したもので、「完成したもの」「成就したもの」を意味する。法隆寺に残る貝葉サンスクリット写本の一葉には、“siddhaṃ” の表題で字母の一覧が記されており、 siddhaṃ の語がこの文字体系の字母表や、この文字体系そのものを指していたことが知られる。

インドではシッダマートリカー siddhamātṛkā(siddha 完成された mātṛkā 文字)の呼称が用いられた。言語のすべての音韻を表せる完備した文字体系であることを意味したのであろう。

「悉曇」が「吉祥を成就する」の意であるとか、「万徳の仏果を成就する」の意であるとか説かれることがある。これは空海が悉曇章の冒頭に記される字母習得祈願の句「悉曇囉窣覩」(siddhaṃ rastu )を「成就吉祥章」の意であると解説したものが、後世に敷衍されたものである。日本での密教的解釈であって、原義ではない[3]。なおsiddhaṃ rastuとは、梵語的には正しくはsiddhirastuであり、「Be there success!」(成功がありますように!)という意味である。

当項目では、主に日本に伝播して定着した悉曇文字について解説する。

インドでは紀元前後にセム系文字に由来するブラーフミー文字とカローシュティー文字の2系統がある。このうちの前者がグプタ文字から発達して6世紀ごろにシッダマートリカー文字となった。さらに7世紀頃ナーガリー文字に発達、10世紀にはデーヴァナーガリーとなった。

今日の日本で悉曇文字(梵字)と呼ばれるものは、シッダマートリカー文字の一変種が仏教とともに中国を経由して伝来し、保存されたものである。数多くの梵字で書かれた文献が伝わっている。この頃のインドにまだ紙はなく、ほとんど貝葉に書かれている。シッダマートリカー文字は現在のインドでは使われておらず、現在、サンスクリットの筆記や印刷に主に用いられるのはデーヴァナーガリーであり、他にはインド南部でグランタ文字が使われている。
煩悩  六道輪廻 九品往生 波羅蜜 四苦八苦 四念処 空・無 入滅 37道品 両界  金剛界  意馬心猿 十二因縁  サンスクリット  節分 干支 二十四節気 梵字 三学 自灯明・法灯明 猊下 四諦 敬讃 胎蔵界・金剛界 意馬心猿 十二因縁 節分 六道修行 解脱  庚申 初午 戒・定・慧・解脱  十善戒 阿闍梨  大峰山 山伏